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ごあいさつ

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総括施設長  藤木 充

引き継がれる「想い」 2

記録映画「夜明け前の子供たち」の中で、たくさんの顔に出会う。

「寝たきりの重症児」と言われていた動くことが困難な重症の障害を持つ子たちの必死の生。河原で石運びをする子供たちやベッドや柱にくくりつけられ行動を抑制される子供。この「寝たきりの重症児」や「動く重心」とよばれた人たちが、近江学園の杉(杉の子)組から移動してきた自閉症の人たちである。この時から始まったびわこ学園の「寝たきりの重症児」や「動く重心」という行動障害と向き合う処遇。
そして今も、大津の障害者支援施設としての「しが夢翔会」の中心的課題は「重度・重症・重介護」-自閉症行動障害や重症心身障害を中心とする生活上の困難の強い人たちへの支援。
そして今も、一人一人の命の姿と向き合いながら共に生きている。

糸賀の魂のもう一つは、池田太郎により信楽という窯業,陶器の町に引き継がれる。

信楽学園・青年寮では場での実習が実践から「職親」を支えとして現場で働くことをすすめ、地域が町を挙げて支えてきている。この中で、1962年、民間下宿が全国で初めて発足する。職員の自宅への預かりから始まり,より積極的に地域に「住まう」ことを実現する。地域に井働き、地域に住まいするという日々の営みこそ。池田の「地域に消え行くコロニー構想」でいうところの地域に紛れ、消えゆく施設そのものであろう。

私たちがびわこ学園に働いていたころ、当時の岡崎園長は「熱願冷諦」と書に書き、「この子は何を思ってはるのやろ」と問いかけられた。書の内容も発言も、利用者に注目し、しっかり見つめ、本人の想いに近づこうというということで、この視点は、糸賀一雄の「この子らを世の光に」という障碍を持つ人を社会に開く視点から発しながら、さらに視点を変え、また重症心身障碍児支援の実践の視座として、心に重く引き継がなければならないと考えている。当時の自分が、「この子は何を思ってはるのやろ」という言葉を聞き、「熱願冷諦」という書を見ながらその問いかけの意味に気づくのはずいぶん後の時代になってからで、もう少し岡崎先生との仕事ができ薫陶を受けることができていたらと今も思う。
そして、これらのすべては「南郷」の地に「近江学園」により切り開かれた「滋賀」の障碍者福祉の精華として私たちに与えられたものであり、これからも大切に育てることを求められているものであるとおもいます。

一つ一つの、様々な実践が、すべての「引き継がれる想い」の到達点でありはじまりでありるのだから。